「遅かったですね?」

「柿ピーがナンパしてたかられす!」

「してないし。」



−永遠を駆け抜ける一瞬の僕ら act.2:alliance−



「・・・ナンパ?」

骸は怪訝そうな表情を浮かべた。この柿本が女性に興味を示すなんて、考えられなかったからだ。

「ナンパではありません。殺っていたのを見られたので声をかけただけです。・・・黒曜の生徒でしたが。」

「ウチのクラスの子だったびょん。」

骸の前であったことを話す2人。それを黙って聞いている骸。
黒曜の生徒で、この辺を仕切っている組の組長の一人娘だということを事細かに説明していく柿本。

「・・・ヤクザのお嬢さんですか・・・。クフフ、仲間にすれば使えるかもしれませんね。」

「はい、俺もそう思ってました。」

微かな笑い声が音の無い世界にやけに大きく響いていた・・・。



翌日。

は、何食わぬ顔で学校に登校してきた。
ヤクザの一人娘だと周りは知っているが、の人となりを知っているのでヤクザの娘なんて正直どうでもいい事実になっている。頭もよく、それなりに見た目もいい。スポーツも出来て人当たりがいい、とにかく「完璧」というような少女。

ちゃーん、おっはよー!!」

大きな声で名前を呼ばれ、後ろを振り返ったの目に入ったのは、昨日の2人・・・柿本と城島、それともう一人。城島は、腕が千切れるのではないかといわんばかりに、大きく腕を振っている。3人はゆっくりとに近づいてきた。

「六道・・・骸・・・」

「おや、僕の名前、知っていましたか。2人から貴女の事を聞きました。お話しがあるのですが、ちょっと付き合ってもらえますか?」

笑顔だが、決して目は笑っていない。の本能が、この男には逆らってはいけないと警告している。まもなく予鈴のなる時間だが、は骸に従い、柿本、城島、骸とともに4人で学校の屋上へと向かった。
いつもなら不良がたむろっている屋上も、この3人がわずかな期間でこの学校の不良をまとめ上げてしまったおかげで、静かなものだ。

「・・・私に、何の用ですか。」

「クフフ・・・昨日、貴女が見たことをちゃんと説明しておこうと思いまして。」

壁に寄りかかり腕を組み、まるで観察するかのように目の前に立つのことを見る骸。その両脇に柿本と城島が立っている。

「昨日のこと・・・ですか。」

昨日路地裏で見た光景が思い出される。ただの不良ではないことをうかがわせる城島の戦い方、何も感じていないかのように見下ろす柿本の視線。思い出しただけで冷や汗が流れる。

「えぇ。僕たちは、ある人物を探しているんです。・・・隣町に、マフィアが潜伏しているんですよ。」

「ま、マフィア?!」

正直な話、にとっては突拍子も無い話だった。こんな身近に、マフィアなんているのだろうか?

「マフィアなんて、日本にいるわけ・・・」

「今わかっているのは、隣町の並盛中にイタリアのマフィアの次期ボスとなるべき人物が通っているということです。」

骸の試すような目つき。この人は、自分に何を求めているのだろう・・・。そんなことを考えながらは骸と視線を合わせる。片目の色が違うオッドアイ。その不思議な目を見ているだけで、なぜか引き込まれそうな気分になってくる。

「・・・それで、私に何かしろって言うこと?」

「それは貴女に任せますが・・・隣町も貴女の組のシマなのでしょう?マフィアがいると聞かされて、貴女は黙っていられますか?」

確かにそうだ。いずれは自分が組を継がなければならない。そんなときにもしもマフィアが隣町にいたらどうなるか。大体の想像はつく。

「僕たちの目的は、そのマフィアはおろか、すべてのマフィアを殲滅させることです。もし貴女さえ構わなければ、手を貸していただけるとうれしいのですが。」

自分が手を貸して、どれだけのことが出来るのかはいささか不安ではあったが、自分も組長の娘。それなりのプライドがある。

「・・・うちの組のシマ、マフィアなんかに好き勝手にされてたまるか・・・!」

「協力、してくれますか?さん?」

「あぁ、協力でも何でもしてやるよ。」

「クフフ・・・じゃあ、よろしくお願いします。」

骸が差し出した右手をは握った。それと同時に、体に強い衝撃が走る。ドン!と何か大きなものがぶつかった様な衝撃。

「うわぁ?!」

冷静になってみると、城島が抱きついていた。

「ちょ、城島くん?!」

あたふたとしてどうしていいかわからない。

「だって、ちゃん仲間になったんれしょ?こぉんな可愛い子が仲間になって、オレ嬉しいびょーん!仲良くしようね、ちゃんvV」

「ちょ、痛いって、城島くん!!」

すごい力で抱き締められ、振り解こうにもそれもままならない。猫は被っているが、そこそこは喧嘩の腕には自信がある。ほかの女の子よりも腕っぷしは強いつもりだが、城島の力にはかなわない。というか・・・もはや人間の域を超えているかのような力。

「犬、あんまりきつく抱きつくとさん、死んじゃうよ?」

ため息をつきながら柿本が城島を制した。ハッと気がついたように、城島がのことを開放する。

「大丈夫?!ごめんね、ちゃん!!」

「あ、うん、大丈夫・・・」

骸はその様子を見てクフフ・・・と微かな笑い声を上げた。

なんかだんだん分けわかんなくなってきましたな・・・。
どうでもいいけど、私の中でマフィアとヤクザは別物として考えているので・・・。
いや、もしかして骸さん、日本のヤクザまで滅ぼすつもりで
いないよな・・・?とか書きながら思いました(爆)。