!!大丈夫か?!」

そこに現れたのは私を闇から救ってくれる
英雄の声だった・・・。


−親馬鹿−
序章



PiPiPiPiPiPiPiPi・・・

けたたましい目覚ましの音に目が覚める。
布団から白い腕を伸ばし目覚ましを止めると、気だるい体を起こして、ボーっと考え事をする

「・・・久しぶりに見た・・・あの夢・・・」

そう、10歳の頃の恐ろしい記憶。
の両親は、ガンマ団で極秘の研究に携わる研究者だった。
その極秘の研究を盗もうと、敵対している者に家族全員捕らえられた。
両親が目の前で拷問を受けている様を見せ付けられた・・・
それこそが、10歳だったにとっては拷問だった。

その時・・・初めて力が発動された・・・

自分に手をかけようとした大の大人が砂のように崩れた。
手で触れるもの全てが砂のように崩れていく・・・。
それが自分が引き起こしていることだと幼いでも感じ取った。
自分が恐ろしく・・・発狂寸前で気を失った。

次に目を覚ましたときには、手が縛られていた。
食事を取ることも、水を飲むことさえもままならない・・・。
一体何日が過ぎただろう・・・

「私・・・もう死ぬんだ・・・」

そう思った。
その時、遠くから爆音が響いてきた。
まっすぐのいる牢に近づいてくるその爆音。
ものすごい爆音と爆風がを襲った。
立ち上る土煙の中、現れたのは金色の髪を靡かせた大男。

!!大丈夫か?!」

「ハー・・・レム?」

その男の名はハーレム。両親とも仲がよく、よく家に遊びに来ていた。
とも仲がよく、まるで兄のような存在・・・
兄にしては歳が離れすぎているが。

「お父さんと・・・お母さんは・・・?」

腕を解いてもらいながら、はハーレムに問うた。
ハーレムは何も言わず、ただ苦しそうな、悲しそうな顔を見せた。
次の瞬間・・・やせ細ったの体を抱き上げて、一言ポツッと呟いた。

「・・・今から、俺がお前の父親になってやるからな・・・」

その言葉に、両親が殺されたことを悟った・・・。
天才研究者と呼ばれた両親の子供。
世間一般の10歳児よりも頭の回転は速かった。



「・・・こんなこと思い出したら、恥ずかしくて隊長の前に出れないじゃん。」



頬を紅く染めながら、ベッドから起き出し、制服に着替える。
特戦部隊の皆とお揃いの黒い皮のスーツ。最近ちょっと窮屈ではある。

「新しいのかって貰おうかな・・・」

そう、特戦部隊隊長、ハーレムは他の隊員にはきついが、
にだけはやたらと優しい。まさに親馬鹿である。
が、「服が欲しい」というと、他の隊員の給料をカットしてまで
買ってしまう始末。
そんなことが心痛いは、「服が欲しい」やら、
「ブランド物のバッグがほしい」なんてことは口にしない。だが・・・

「さすがにこれは・・・胸がきつい・・・」

二次性徴の時期にひどい仕打ちを受けたは、
少々他の少女たちと違って成長が遅くなっている。
今まさに二次性徴の真っ最中。胸が大きくなってきて、かなりきつい。

「よし、買ってもらおう!皆・・・ごめんね・・・」

そういいながら、は自室を後にした・・・。

ええっと・・・この作品は、この後に続く作品のBG的な作品です。
ヒロインの設定を分かってもらえればいいかな、と思って作りました。
このあと、いろいろありますので・・・