「女になればに手を出そうなんて考えないべ!」
生き字引の筆を構えて、じりじりと他の3人に詰め寄るミヤギ。
身体にミヤギの筆が触れそうになった刹那、アラシヤマの身体が
炎に包まれた。・・・と、建物の中であるから、当然の如くスプリンクラーが
発動し、アラシヤマの発する炎の鎮火に当たる。
「アラシヤマさん?!」
「・・・情けないべ、アラシヤマ・・・」
「・・・情けないのう・・・」
「情けないっちゃ」
惨めに濡れそぼったアラシヤマは、小刻みに震えながらたたずんでいた。
「大丈夫ですか?アラシヤマさん・・・」
は心配そうにアラシヤマの顔を覗きこむ。
その視線を遮ったのは、紺色の服。
「大丈夫!僕が乾かしてあげるっちゃよ!
にっこり笑ったトットリは、足を振って下駄を放る。出た天気は「日照り」。
みるみるうちにアラシヤマの服や髪が乾いていく。
すでに大きな輪となったギャラリーからは、歓声が上がった。
と、ミヤギがそこに口を挟んだ。
「さりげない優しさを見せるためにアラシヤマを使うなんて卑怯だべ!」
「な、そういうつもりだったんどすか?トットリはん!いまほんの少しだけえぇお人やと思うたのに・・・」
「所詮、それだけの男だってことじゃ。ほんに、方法がえげつないのう・・・」
「皆してそこまで言わんでも・・・」
皆にけちょんけちょんに貶されたトットリは、すっかり落ち込んでしまった。
「こげな奴らほっといて、わしと行くぞ!」
鍛え上げられた筋肉しかとりえのないコージは、の腕を掴んで
思いっきり引っ張った。の顔は苦痛に歪む。
「コージさん!痛いです!!」
の口からは鋭い声が上がる。
「す、すまん、ちと乱暴じゃったかのう?」
「こったな乱暴な奴さ絶対を任せられないべ!」
「そげだ!はよその腕離さんと、の腕が折れるっちゃ!」
「もう少し考えることをしなはれ。脳みそまで筋肉になったんと違いますのん?」
今度はコージを貶すほかの3人。
口々に相手を罵りあい、すでに収拾がつかなくなってきた。
「あの、皆さん!他の方々のご迷惑になるので、やめましょう?」
必死で止めようとするの発言は、努力空しく喧騒に掻き消される。
「皆さんてば!!」
「「「「ちょっとは黙ってろ!」」」」
この、いきなり4人でハモったセリフに、さすがのも我慢の限界が訪れた。
の瞳がどよんと黄色く光った。どうやらキレてしまったらしい。
「いい加減にして!!!」
鋭い声で4人を制する。4人以外のギャラリーまでシーンと静まり返ってしまった。
「・・・?」
俯いて肩を震わせているが心配になり、顔を覗き込もうとする4人。
は・・・大粒の涙を流しながら、
「喧嘩する人なんて大嫌いです!一人で帰らせていただきます!!」
と叫んだ。
その言葉を聞いた4人は慌ててフォローしようとする。
「堪忍してや、。」
「悪かったっちゃ・・・機嫌直してほしいっちゃよぉ・・・」
「どうすればは満足なんじゃ?」
「言わないとわからないべ。」
は泣きながら、
「仲良くしてくれないと皆嫌いです・・・」
と言った。
を泣き止ませるためには、4人仲良くしなければならない。
4人は仕方なく皆で一緒に食事に行くことにした。
は、満足そうに伊達衆と食事に出掛けていった・・・。
・・・と、給料日恒例の伊達衆+の食事会はこうして毎月行われるのだった。
はい、終わりです。
サイト立ち上げるときから載せようと思っていたのですが、
色々とありまして、今になってやっとのアップです。
セリフがやたらと多いなぁ・・・。