この作品は、「ジバクくんのアニメをやっと見たよ記念」
の作品なので(自己満足)、
設定が少々違います。
とりあえずわかっていていただきたいのは、
デッドとライブは別人物。デッドの弟がライブ。
ということです。ま、わかんなくても何とかなりますけど。
ということで下からどうぞ!
忘れないで・・・私が貴方の中に残した音楽を・・・
思い出さないで・・・私の死に顔を・・・
この音楽を引き継いで 貴方に聞かせてくれる人が必ず現れるから・・・
−Secret Garden−
音楽を愛する国、ロック。賑やかな音楽を愛する人たちのなかに、何故僕のようなものが生まれたのか。未だに不思議で仕方がない。古き良き音楽を愛して何が悪い。受け入れられない僕の想いは行き場をなくし、だんだんと孤独を愛するようになった。
弟であるライブは、この国の人間の好きなロックやポップスという部類の音楽を愛し、それを奏でることによって人から注目されることも多かった。それなのに。ライブは、
「クラシックなんてダサい」
と言った。僕は・・・その言葉が許せなくて・・・家を飛び出した。
久しぶりにロックへと顔を出した。もちろん家には戻らない。ライブに・・・会いたくなかったから。冷たい風が吹く中、目を上げるとそこには、大きな家があった。古く大きい門の向こうには、雑草で荒れ放題の庭があった。
「・・・手入れをすれば、綺麗なのに・・・」
一言呟いて、塀を見ると、丁度人が一人通れそうな穴が開いていた。僕は、その中にまるで吸い込まれるかのように足をすすめた。
大きな門から見えた通り、やはり中は荒れ放題。立ち枯れの薔薇が辺りをおおい、水気の失せた蔦が塀にへばりついていた。ふと・・・真ん中を見ると、東屋がある。蔓が白い柱に絡まり、何とも言えない美しさを醸し出していた。その中に・・・白に近い金髪の、美しい少女が目を瞑って座っていた。本を片手に、気持ちよさそうに眠っている。あまりに美しくて。僕はその場から動くことさえ出来なかった。その少女のことを眺めていたいと・・・本気でそう思った。
風が吹く。その冷たさに、ハッと我に返った。こんな寒い中で眠っていて、風邪でも引いたら・・・。そう思った僕は、不法侵入だとは思いつつもその少女に声をかけた。
「起きてください。こんなところで寝ていたら風邪を引きます・・・」
「ん・・・」
その少女は身じろぎ、目を覚ました。深い緑の瞳が僕を捉える。その美しさに、言葉を失い彼女を見つめていた。
「貴方は・・・?」
その少女は不思議そうに僕を見つめ返してきた。
「すいません・・・この庭に惹かれて迷い込んだものです。名はデッドと申します。それより・・・風邪を引かれますよ。中に・・・」
「わざわざ申し訳ありません。ありがとう。よかったら貴方も一緒に。」
少女はにっこりと笑って、僕にそう言ってきた。心の中に木漏れ日が差し込んだような・・・そんな暖かさを持つ微笑。その微笑につられるように、外から見ても大きな家の中へと入った。
アンティークの調度品で彩られた家の中は、なぜか心の休まる空間だった。街の喧騒とはかけ離れた、静かで落ち着いた家の中。時間さえゆっくりと流れているように感じる。広い家の中には、人の気配がしなかった。
「あの・・・」
「なんです?」
「お一人で住んでいるのですか?」
「・・・住み込みの家政婦と一緒です。その家政婦も具合が思わしくなく、今入院していますし。半年前に両親が亡くなったので・・・」
悲しそうな笑顔を浮かべる彼女に、僕の胸は大きく軋んだ。
「すいません・・・」
「いえ。あ、申し遅れました。私、名前をと申します。」
「・・・」
「はい。よろしければ、お茶でもお飲みになってください。今すぐ準備いたします。」
リビングに通され、アンティークの座り心地のいいソファに腰を下ろす。適度な硬さが丁度いい。はキッチンへとお茶の準備をしに向かった。部屋の中を見渡すと、美しい絵画、名のある彫刻家の彫刻など、古き良き時代のものがたくさんおいてある。グランドピアノが、その存在を誇示している。静かで、心休まる空間。きっと、この家の中に音が満ちるのは、このピアノを弾くときだけなのだろう。
家の中は美しいのに・・・窓から外を見ると、荒れ果てた庭が広がっている。あの薔薇は・・・手入れをすればまた花をつけそうなのだが・・・
「お待たせしました。」
が、お盆に茶器一式とケーキを乗せてリビングに入ってきた。僕と向かい合わせの位置に腰を下ろし、カップに紅茶を注いでいる。その繊細な指先を眺めながら、僕は
「ピアノを・・・弾かれるんですか?」
と尋ねた。慌てずその手はカップを僕の前に差し出すと、彼女の膝に戻された。
「母が・・・弾いていたんです。私は幼い頃の怪我が原因で、右手の指が麻痺しているので弾けません。でも・・・母の弾くピアノは好きでした。本当ならあのピアノも・・・弾いて欲しがっているのかもしれません・・・」
また、先ほどと同じような悲しそうな微笑を浮かべた。僕の心の中の軋みはひどくなるばかり。言葉少なに会話を交わし、ゆったりとした時間を過ごした。
昔、家の中でピアノやオルガンを弾いていると、父や母、弟のライブにまでバカにされた。でも、きっとここなら・・・
「あの・・・」
「はい?」
「ピアノ・・・弾かせていただけませんか?」
「・・・どうぞ。」
は手をピアノの方へと翳した。その手に導かれるがままに、僕はピアノの蓋を開け、鍵盤に手を添えた。
・・・久しぶりに・・・心から気持ちよく、ピアノを弾いた・・・
演奏が終わって一息ついて、の方を見ると・・・は涙を流していた。
「・・・!どうかしましたか?」
「いえ・・・ごめんなさい・・・。今の曲・・・母がよく弾いてくれていた曲だったので・・・」
涙で濡れた瞳で、僕に笑いかけてくれるを・・・なぜか僕は抱きしめていた。今まで人に温もりなど求めたことはなかった。でも・・・彼女に触れたいと・・・心からそう思った。身体は心に順応して動いた。
「泣かないでください・・・・・・」
「忘れないで・・・私が貴方の中に残した音楽を・・・
思い出さないで・・・私の死に顔を・・・
この音楽を引き継いで 貴方に聞かせてくれる人が必ず現れるから・・・」
「え?」
「母が死ぬときに残した言葉です。『この音楽を引き継いで 貴方に聞かせてくれる人』・・・貴方だったんですね・・・デッド・・・」
の腕が僕の背中をぎゅっと抱きしめた。
「・・・貴方が音楽を求めるときは・・・僕を呼んでください。貴方が飽きるほどに・・・貴方の中に僕の音楽を残しましょう・・・」
「デッド・・・」
かさかさと枯葉の触れ合う音がする。窓の外はすでに夕暮れ時・・・呪いの時間が・・・始まる・・・。
完全に陽が落ち、辺りの様子は一変する。ロックはナイナイへと姿をかえる。目の前には蜘蛛の巣の張り巡らされた先ほどまで目の前にあった調度品の数々。グランドピアノに視線を泳がすと、足は折れ、傾いていた。僕の腕の中には・・・小さく揺らぐ人魂が。
「・・・僕は貴方を守ります。ずっと・・・そばにいてください・・・」
その人魂に指で触れると、嬉しそうに揺らいだ。その日から僕は、夜になると人魂となるのことを守り続けた。トラブルモンスターの毒牙にかからぬように。
彼が・・・ロックとナイナイの呪いを解いてくれる日まで。
「デッド?どうかしたの?」
「・・・なんでもないよ、。」
彼女の大事なグランドピアノの蓋を閉め、彼女の方に向き直り、を抱きしめた。外はすでに夜。爆くんが呪いを解いてくれたことによって、ロックの人々は夜になっても姿を変えることがなくなった。も・・・
彼女は僕の音楽を聴き、僕は彼女のために音楽を奏でる。
僕は祈っている。寿命が僕たちの仲を別つまでこんな日が続くことを・・・
ジバクくんのアニメをやっと見たよ記念(長!!)
デッドが可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて・・・(強制終了)
ということで、デッド夢です。
アニメ設定なので、ライブと同一人物、ではなく、
ライブのお兄さん、という設定で書いてます。
・・・ていうか、私自分で書いててなんですが、
この作品のライブ、感じ悪・・・